24畳ものLDKは、もともとの家にあった柱や梁をそのまま活かして。新しくなった空間も、昔ながらのぬくもりが漂う。広々とした空間をやさしく暖めるのは、ご主人こだわりの薪ストーブだ
伊藤邸は、45年ほど前にご主人のお父様が山から木を切り、2年もの時間をかけて自分で建てたという手作りの住まい。2世代で大切に住み継いできましたが、経年による老朽化が進み、リフォームをすることにしました。すきま風がひどく、冬場の冷え込みがご高齢のご両親の健康を損なうのではないか。そう心配された伊藤さんご夫妻の「寒い冬を迎える前に暖かい家にしたい」といういたわりの気持ちが出発点だったといいます。
納得のいくリフォームの実現に向けて数社検討する中で、ご夫妻がパートナーに選んだのがオノヤリフォーム倶楽部。見積もりの提出が早く、しかも明細の内訳がしっかりと書かれていたことに安心感を抱いたそうです。なかでも、いちばんの決め手は、「父の建てた家を残したい」というご主人の思いに、担当の喜古さんが他社の誰よりも共感し、応えてくれたことにあるといいます。ご家族の愛着ある住まいをできる限り残そうと、工事中はひとつの柱、ひとつの梁に気を配り、解体を進めながら臨機応変に設計も変更。天井高5m以上というLDKは、天井裏に隠れていた味わい深い梁が空間のアクセントになっています。24畳という大空間も、ご主人の憧れだったという薪ストーブを設置したおかげで雪の日でもぽかぽか。ストーブまわりには、もともと土留めに使用していた石を製板して貼りました。
ご家族の思い出はそのままに、広く、暖かく生まれ変わった住まいに、ご両親も大喜び。解体されていくわが家を不安そうに見守っていたお父様も、新しい家に残された既存の柱や梁を見てひと安心。お母様は涙を流して感激されていたといいます。薪ストーブのやさしい炎は、囲んで座っているだけで、からだだけでなく心もほっこりと和んでいくのだとか。快適に過ごすことのできた今年の冬は、ご夫妻からご両親への、何よりのプレゼントになりました。
対面型のキッチンには「berry」を採用。作業場の奥行きが通常よりも広く、動線も抜群。収納はキッチン背後とカウンターまわりに設置し、吊り戸棚を設けなかったため、LD全体をすっきりと見渡すことができる
今回のリフォームの主役であるLDKで、もっとも空間のポイントとなっているのがシステムキッチンです。「対面型にしたい」という奥様のご要望を受け、喜古さんが提案したのがヤマハの「berry」でした。木のぬくもりに包まれた空間との調和を考えて、扉のカラーは落ち着きのあるディープレッドを選択。I型キッチンを使い、キッチンの横に立つ柱の厚みを利用して、カウンターまわりには収納を設けました。当初の奥様のご要望では、別の場所にと考えられていたキッチンを最終的にこの位置に決めたのは、効率的な家事動線に配慮した喜古さんからの発案。完成したキッチンの使い勝手の良さに、いまでは奥様も「ここ以外には考えられない」とお気に入りのご様子です。
バスルームは、ショールームで奥様がひとめぼれしたシステムバス「Beaut」。デザインはもちろんのこと、「広々と余裕のあるエルゴデザインの洗い場の作りが、車椅子生活になったとしても心地よく使える」と、将来的な介護のことまで視野に入れての選択となりました。「床が滑りにくく、掃除もしやすい。シャワーの位置をスライドできたり手すりが付いていたりと、高齢者でも安心なのがいいですね」と、その機能性に大変ご満悦の奥様です。
二世帯住宅だからこそ、お互いの暮らしを思いやって。そんな伊藤さんご家族の気持ちに応えて、喜古さんが提案した工夫がもうひとつありました。それは、居室の扉の下部に設けた明かり取りの窓。室内の電気の点灯・消灯が遠くからでも見え、「いまお風呂に入っているんだな」「まだ起きているんだ」「もう寝たのかな」ということが扉を開けることなくわかります。生活時間帯が異なっても、相手の気配を感じることができるように。小さなディテールの工夫が、暮らしはじめて大きな意味を持つようになりました。
家族の幸せをいちばんに考えたリフォームは、地元の施工会社であるオノヤリフォーム倶楽部の技術力や提案力によって、伊藤さんが思う以上のものに。昔のものを生かしつつ、最新の設備に彩られた住まいで、二世代の夫婦のゆったりとした暮らしが営まれていきます。
神棚と仏壇が違和感なくしつらえられた和室。アールを描いた「洞床」の床の間のデザインもオノヤリフォーム倶楽部の喜古さんの提案。庭の借景が、和の趣に四季折々の彩りを添える
すべての居室や水まわりのドアの下部には、明かり取りとして窓を嵌め込んだ。漏れる光から、家族の気配を感じることができる
明るい色合いでまとめられた清潔感漂うバスルーム。窓から射し込む光が、ホワイトの壁に反射する。人間工学から考えたエルゴデザインの、半身浴もできる「Beaut」は、ご家族みんなのお気に入り
「両親のために」というのがリフォームのはじまりなので、父や母が喜んでいるのが何よりもうれしいですね。父が作った家を尊重し、愛着のある材料を残してくれたオノヤリフォーム倶楽部の喜古さんにはとても感謝しています。前は凍えるような寒さだった冬も、今ではぽかぽかと過ごしやすくて…。いろいろと提案もしていただき、キッチンもバスルームも、新しくなってすべてが快適です!
右から、ご主人の伊藤紀夫さん、奥様のよね子さんと
オノヤリフォーム倶楽部の喜古里美さん