広島県広島市の中心部に建つ高層マンションにお住まいのT様は、お母様との二人暮らし。車椅子を利用するお母様のお世話をするには、細かく仕切られた間取りや狭い水まわりは不便でした。バリアフリー化を目指してリフォームを決意したT様は真っ先にクラージュプラスを訪問。「木の使い方がとても上手で、細部まで行き届いた丁寧な施工に定評があります。スタッフみなさんの家族のような温かい対応に、わが家を託すならクラージュプラスさんしかないと思いました」と語ります。これまでの間取りはリビング・ダイニング、キッチン、和室がそれぞれの部屋に分かれていて、また玄関から居室への動線は決してスムーズとはいえませんでした。そこで、これらをひとつにつなげ、お母様の寝室もリビングと一体化させることに。LDKと寝室の境にブラインドを設け、来客時は視線が気になりません。また、リビングのドアを付け替えて、玄関からまっすぐにリビングへ入れるようにしたこともポイントです。従来は車椅子を廊下の曲りに従って回転させていましたが、動線を見直したことで、トイレや浴室、洗面室へのアクセスがラクになりました。「LDKのどこからでも母を近くに感じ、安心して介護できるようになりましたね。仕切りをなくすだけで、動作、視野、会話がこんなにオープンになるとは驚きです」とT様。「いつも近くで見守っていてもらいたいから」とT様のご希望で、亡きご主人の仏壇スペースを家の中で最も長い時間を過ごすLDKの真ん中にしつらえました。

和モダンをテーマにプランニングしたT様邸のLDKは"美しい"のひとこと。床、壁、天井に明るい色調の白木を使い、窓側の天井を三角形に折り上げて、のびやかさを演出しています。和の趣が漂う格子やランダム張りの腰壁で構成した空間には、ところどころに黒を配してアクセントを付けました。ワイドスパンの南面からは自然光がたっぷり注ぎ、奥行きのある寝室までやわらかな陽射しが届きます。そして、ひときわ存在感を放つのがラウンドフォルムのキッチン「DOLCE X」。ショールームで一目惚れしたT様は「見た瞬間にラウンドタイプのデザインが気に入りました。以前は壁付キッチンだったので、リビングに背を向けて立っていましたが、オープンキッチンなら家事をしながら母と向かい合えます」と満足そうに微笑みます。カラーは明るく清潔感あふれる白を選び、キッチンパネルとキッチン収納も白で統一。曲線のカウンター越しにお友達をおもてなし、楽しいひとときを過ごしているそうです。さらに照明にもこだわりました。LDKと寝室を別経路の調光式間接照明（LED）でつなぎ、ほのかな陰影をつくり出しています。「旅館のような安らぎの空間に」というT様のご希望をかなえ、マンションに不足しがちな収納スペースもたっぷり造作しました。間取りの変更、段差の解消、キッチンやバスルームの入れ替えなどで格段に暮らしやすくなったT様邸。市街を見下ろす高層階の住まいに、ゆったりとした時間が流れ、T様とお母様がにこやかに言葉を交わす光景が浮かんできます。

ラウンドタイプのフォルムが印象的な「DOLCE X」
キッチンまわりは白一色でまとめました