トクラス選手権は、その時代を象徴する優れた作品が日本全国から集結します。特に今回は、多様性が求められる今の時代に相応しい作品が出そろった感がありました。
一般的にこういったコンテストはその時期のトレンドを反映したものが目白押しになります。しかし今年は、そのような単一的な方向性はあまり感じられず、ひとつひとつに「住まい手」と「作り手」の個性が凝縮され、その中に明確なメッセージを感じ取ることができました。
素材は自然素材を用いたものが多く見られ、よりナチュラルでコンサバティブな方向へ。一方、プランの自由度はさらに高まり、多様なキッチンプランや間取りが提案されるなど、これからの暮らしに寄り添う新しい住まいの形を見ることができました。
中でも目立っていたのは、混迷を極める世界情勢の中、人はより住まいに癒しを求めるようになり、それを反映したプランです。近年注目を集めている、日本の伝統的な美意識と北欧の機能性を融合させた「ジャパンディスタイル」もその中のひとつで、今回の作品の中にも、静けさや温もり、わびさびの美意識など、心身に優しい空間を創出した作品が散見されました。
また印象的だったのが、初めてコンテストに参加された方々の作品群です。斬新なアイデアや、住まいに対する深い考察、卓越したデザイン性など、そのレベルの高さに目を奪われました。10回を超えたこのコンテストに、新しい風が刺激を与えてくれているようです。新旧を交えた切磋琢磨は、更なる高みへと誘ってくれることでしょう。応募作品は年々進化し続けています。ぜひ来年度もご参加いただき、受賞を狙って頂ければと願っております。