今回で、トクラス選手権は第10回目となります。この記念すべき回に、またトクラスのフラッグシップモデルであるBerryがCollagiaへと更なる進化を遂げた節目に相応しい、ハイレベルな作品群が集まりました。
社会構成の急速な変化は、人々の価値観や生活スタイルを変え、そのスピードは驚くほどの速さで進んでいます。これまで全く見なかった新しいアイデアが大人気になったり、逆にこれまでは当たり前とされていたプランが受け入れられなくなったり、そんな時代です。住まいを供給する側は、そういった変化にいつも感覚を研ぎ澄ませ、学び、精進し続けていくことが重要であると日々実感させられています。
例えば日本の伝統的な暮らしでは、家に「ケとハレ」、「奥と表」という役割を持たせてきました。ケは奥にある日常で、ハレは表にある非日常。そんな風に切り替えることでそれぞれの時間をより効率よく便利に、そして豊かにしてきました。現代の暮らしでは、ケとハレの区別はあいまいになり、これまでケであった台所はハレの舞台となるシステムキッチンへ、これまで表の存在であった応接間は裏の存在だった茶の間に入れ替わってリビングへと変化をしています。現在は、日常の中にこそ豊かさが必要な時代であり、非日常も日常の中に混在させることでそれぞれの価値を高める、そんな暮らし方が当たり前になっています。
個の暮らしの充実が強く求められる時代、この風潮はさらに加速する傾向にあります。キッチンが住まいの中心的存在になったように、これからは浴室やそこに付属するスペースなどもハレの舞台へと飛び出していくことでしょう。今回の応募作品でも、そういった時代の変化を敏感に捉えた作品が散見され、また個々の時間を大切にするための新しい間取りや、時代やライフステージの変化に伴った大掛かりな間取り変更を伴うリフォームも多く見られました。一世帯から二世帯へ、子育ての家から終の住処へ、また店舗や倉庫から住居へなど。時代を捉え、そこで暮らす人々がいつも幸せに過ごせる最適解を見つけ出す、そんなお手伝いができるこの仕事は責任が重く、またとても幸せな仕事であると改めて思わされる審査でした。